お久しぶりです、僕氏です。
突然ですが、精索静脈瘤というものになりました。
ずっと元気に仲良く暮らしておりましたが、病院で精液検査とエコー検査をした結果、精索静脈瘤が見つかったのです。
精液検査の結果、正常形態率(余事象表現:精子奇形率)がギリギリ基準内ではあるものの良くなく(奇形率が高く)、精子運動率もよろしくはないという状況で、精巣(一般的には金玉)のエコー検査をして見つかりました。
ここから非常に簡単に、素人の即席知識ですが、精液検査項目や、正常形態率、精索静脈瘤などについて記載させていただきます。
(もはや何のブログか分からないですね笑)
精液検査項目:
WHOによると、12カ月以内にパートナーが妊娠した男性集団100人中、下から5番目の精液検査の数値を「正常下限値」と定義したそうです。(子供を作った男性の精液検査数値の下位5%を上回ることを正常とした)
この正常下限値より低いと自然妊娠はかなり難しいということのようです。
WHOマニュアル2010による正常下限値(なかむらアートクリニックより抜粋)
ちなみに表内の「下から50番目」というのが100人中ど真ん中(中央値≒平均的)ということですね。
検査項目 | 下から 2.5番目 | 下から 5番目 | 下から 10番目 | 下から 25番目 | 下から 50番目 |
精液量(mL) | 1.2 | 1.5 | 2 | 2.7 | 3.7 |
精子濃度(万/mL) | 900 | 1,500 | 2,200 | 4,100 | 7,300 |
総精子数(万) | 2,300 | 3,900 | 6,900 | 14,200 | 25,500 |
運動率(%) | 34 | 40 | 45 | 53 | 61 |
前進運動率(%) | 28 | 32 | 39 | 47 | 55 |
正常形態率(%) | 3 | 4 | 5.5 | 9 | 15 |
この表を見た個人的な感想ですが、、、精子の生産って何億とかって数は多いものの、不良(生産ロス?)が結構あるんだなと思いました。
そして、1つ前の1999年のWHOの正常下限値は、亀田IVFクリニック幕張とエス・セットクリニックによると以下。
精液量 2.0mL(現在 1.5mL)、精子濃度 2,000万(現在 1,500万)、総精子数 4,000万(現在 3,900万)、運動率 50%(現在 40%)、精子奇形率85%(=正常形態率15%。現在 4%)
正常形態率:
生産された精子のうち、完全な形をしている精子のことのようです。逆に言えば残りは奇形(率)です。
上記WHOの表の中央値の人でさえ、正常形態率が15%、つまり、85%は奇形ってことです。(※ちなみに奇形という表現が奇形児を連想させますが、奇形児と奇形率は全く別物ということだそうです)
奇形の精子はうまく前進運動をしなかったり、DNAの損傷が激しかったりして、そもそも受精する能力がほとんどないそう。
たまにクリニックによって「正常形態率が70%以上が正常」とかっていう数値を見ますが、上記事実から考えれば、70%以上とは数字として別物…?WHOではクルーガー染色という検査方法ですが、クリニックによっては手法が違うためっぽいです。
精索静脈瘤:
精巣(一般的には金玉)にももちろん血は通っているので、動脈(心臓から新鮮な血液を運ぶ。上水管)と静脈(細胞が使用した後の血液を戻す。下水管)がありますが、その静脈に何らかの理由でコブができている状態です。
これになっていました。
ひえ~~と思いましたが、実はこの精索静脈瘤自体はわりとよくあることのようで、成人男性の15%前後は持っているそうです。
精索静脈瘤があっても精液所見がそこまで悪くない人もいるだろうし、そもそも妊娠を希望しない男性などは気づかないことも多いようで、そういう人は発覚しても重度でない限りは手術する必要もないようです。
コブ(瘤)ができていると何が良くないかというと、精巣の血液がうまく心臓に戻らず逆流し、精巣の温度が上昇する、精巣が低酸素環境になるという風に、精子の生産にとって劣悪な環境になるようです。
よって、精子の運動率が悪化したり(精子が熱と酸欠によるストレスで弱っている)、奇形率が上がったりするらしい。自分じゃん。
現に僕も、エコー検査で分かって自分でもびっくりです。
精索静脈瘤の手術:
手術をしようと決めた場合、基本的には、高位結紮(けっさつ)術、(顕微鏡下)低位結紮術のどちらかとなるようです。(結紮は結んで縛ること)
この「高位」と「低位」で結構、内容が違います。
ちなみに高いとか低いとかっていう表現は、手術する位置のことのようです。
東邦大学医療センター大森病院李プロダクションセンター(泌尿器科)によると以下。
手術方法 | 麻酔方法・入院の有無 | 精巣動脈を残すことができるか | 合併症の精巣水瘤発生率 | 再発率 | 重篤な合併症の可能性 |
顕微鏡下精索静脈瘤手術(リンパ管温存高位結紮術) | 全身麻酔・3泊4日 | バイパス動脈があるので残す必要はない | 0%(リンパ管温存できるため) | 5%(外精逆流静脈がのこるため) | なし |
腹腔鏡下精索静脈瘤手術 | 全身麻酔・入院 | 動脈を残すことができない | 12% | 5-15%(手術器具が大きいので繊細な手術ができない、外精逆流静脈も残る) | 可能性がある |
顕微鏡下精索静脈瘤低位結紮術・ナガオメッソッド | 局所麻酔・日帰り手術 | 動脈を必ず残す | 0%(リンパ管を残すことができるため発生率が低い) | 0.5%(繊細な手術で、外精逆流静脈も結紮するので再発率が低い) | なし |
僕なりに整理すると、
- 高位のメリット:多くの病院で手術できる。保険診療(3割負担)で比較的安い。
- 高位のデメリット:基本的に入院手術(部屋代もかかる)。再発率等のリスクが比較的よくない。
- 低位のメリット:基本的に日帰り手術。再発率等のリスクが圧倒的に低い。
- 低位のデメリット:保険で対応できる病院が少ない(法律的には保険適用可の手術)。手術できる病院(先生)が比較的限られる。
ということで、早速、低位結紮の手術を決めたのでした。
(たまたま精液検査にいったクリニックが低位で手術できるところでよかった)